「あのさ、嵐……」
「ん?」
「あっ、さっきおばさんが達也って」
「あぁ、達也は兄貴だよ」
「お兄さん?え?何で嵐をお兄さんの名前で呼ぶの?」
「兄貴は死んだ。俺が悪いんだよ」
「嵐が悪いって、」
「俺を助けようとして兄貴は死んだ。兄貴の三回忌が終わったくらいから、あの人は俺を"達也"って呼ぶようになったんだよ。代わりだよ」
「代わりって……じゃあ、嵐は?」
「俺はあの人の中には存在しない」
「存在しないって何?嵐は此処に居るじゃん!此処に居て笑ったり怒ったり、ケンカしたりしてるじゃん!」
悔しかった。
悔しくて仕方なかった。
嵐のお兄さんが嵐を助けようとして死んだからと言って嵐が悪いわけじゃない。
嵐が誰かの代わりになることなんてない。
「椿」
嵐が私にティッシュケースを渡して「椿が泣いてくれるとは思わなかったよ」と初めて見た眼鏡越しじゃない嵐の……
本当の嵐の笑顔。
「ん?」
「あっ、さっきおばさんが達也って」
「あぁ、達也は兄貴だよ」
「お兄さん?え?何で嵐をお兄さんの名前で呼ぶの?」
「兄貴は死んだ。俺が悪いんだよ」
「嵐が悪いって、」
「俺を助けようとして兄貴は死んだ。兄貴の三回忌が終わったくらいから、あの人は俺を"達也"って呼ぶようになったんだよ。代わりだよ」
「代わりって……じゃあ、嵐は?」
「俺はあの人の中には存在しない」
「存在しないって何?嵐は此処に居るじゃん!此処に居て笑ったり怒ったり、ケンカしたりしてるじゃん!」
悔しかった。
悔しくて仕方なかった。
嵐のお兄さんが嵐を助けようとして死んだからと言って嵐が悪いわけじゃない。
嵐が誰かの代わりになることなんてない。
「椿」
嵐が私にティッシュケースを渡して「椿が泣いてくれるとは思わなかったよ」と初めて見た眼鏡越しじゃない嵐の……
本当の嵐の笑顔。