「そっ、30分前からね。でも嵐の家を出たら別れる予定だから」

「なるほど、期限付きか」

「みたいだな」


楽しく笑っているのは二人だけ。
私は嵐の怪我がたいしたことがないと分かっても、さっきの嵐の母親が気になって仕方ない。
だけど、こんな雰囲気で聞けるはずないし、嵐からだって説明してくれるはずない。


何となく向けた視線の先に写真を見つけて、私は立ち上がりその写真を手に取った。


幼い子供が二人。
楽しそうに笑っている写真。
その右側はきっと嵐だ。
幼くても目元は今の嵐と同じ。


「これ嵐でしょ!」


振り返りその写真を嵐に見せた。


「あぁ」

「左側の子は?嵐にちょっと似てるね」

「左側は兄貴だ」


嵐は写真から視線をそらして俯いた。