部屋に入ると嵐はベッドに横になっていた。
腕と頭には包帯を巻いていた。


「椿も一緒か」


バツの悪そうな顔をして上半身だけ起こした。


「まぁ、色々あってな」

「お前らは色々ありそうだから」

「達也も早く彼女作りなさいよ」


は?
今、おばさん……嵐のこと達也って。

嵐と獅朗を見ても動揺なんてしていない。
むしろ、そう呼ばれることに違和感を抱いているのは私だけのようだった。


「獅朗君からも言ってやって、」

「そうですね。でも心配しなくても大丈夫ですよ」

「そう?獅朗君がそう言ってくれるなら安心ね。じゃあ、下に居るから何かあったら呼んでちょうだいね」

「分かってるよ」


おばさんは「じゃあ」と頭を下げて部屋を出て行った。