美由希さんは拓人のことがとても心配なのか、声のトーンを落として話した


ちなみに美由希さんはシングルマザー。


拓人が中学の時に旦那さんが亡くなった。


だから人一倍息子を大事にしたいんやと思う


「…そうなんですか…



ごめんなさい。あたしわかりません」


できるだけ平然を装って返事した



「そっか〜

いきなりこんなこと聞いてごめんね。


りんごありがとうってお母さんに伝えといて〜」


「はーい!さようならー」


あたしは今度こそ坂下家をあとにした


けど運の悪いことに



ザザザーーー


「え、雨?」


50メートル程歩いたところでいきなり雨が降ってきた。


「もー最悪。」


あたしは何も持ってなかったから、ひとまず近くにあったコンビニの前で雨宿りすることにした



「お金も持ってないし、傘買われへんやん…」


もー最悪。



「「あっ」」



2人の声が重なった。


なんと、あたしの目の前には拓人が居た



多分拓人は家に帰る途中やと思う。


拓人も傘を忘れていたのか、あたしの横に並んで雨宿りした。