「えっ…」
次の瞬間あたしは涙が溢れた
…それは、それ以上に嬉しいことがあったから。
ネックレスの星の裏に彫られた文字
《~You are important.~》
あなたが大切。
その意味がわかった瞬間びっくりするぐらい涙が溢れた
まだ、あたしのことを大切って思ってくれてることが本気で嬉しかった。
多分、なんとも思ってない相手からこんなプレゼントがきたら引くと思う。
けど拓人から貰ったら嬉しさしかなくて…
「拓人っ、大好き…っ」
あたしは図書室から飛び出して走り出した
「はあ、はあ」
こんなに走ったのはいつぶりやろう。
すると前に見えてきた背中
「拓人!!!」
私は大声で叫んだ
ゆっくり振り向いた拓人
「あ、えっと、あんな…!」
あたしの気持ち伝えたい。
「えーっと…ばか!」
「…は?」
あーー!
何言ってんの!
違うやろ?伝えたいことは…
好きってこと
伝えるのってなんでこんなに難しいん…?
「拓人初詣の時、あたしに
お前の気持ちはあいつにまだ向いてると思うけど、俺は全力で奪いに行く
って言ったくせに全然奪いにきてないやん!」
「それは…」
「ずっと待ってたのに…!」
「え?」
「あ…」
何言ってんのあたし…
「あーもうだから!」
「拓人が好きやねん!
ずっと好きとか絶対ありえへんって思ってたけど、いつの間にかあたしの頭の中、春馬より拓人の存在がおっきくなってて…
なんか言葉まとまらんけど、とにかく…っ!」
あたしの言葉は途中で遮られた
拓人の唇に…
それは1度で終わるものじゃなくて、角度を変えて何度も繰り返された
「んーっ!!!」
さすがに息が持たんくなって、拓人の胸を軽く押すとすぐに放してくれた
「歩夢と春馬が付き合ってると思ってた」
「は!?」
拓人の口から出たのは驚きの言葉
一体いつそんな勘違いを…
「春馬の家の前で歩夢春馬のこと抱きしめ返してたし
バレンタインのチョコ俺の方が春馬にあげてたやつよりちっちゃいし」
拓人は照れて耳を真っ赤にしてる
あれ、それより…
「さっきから歩夢って呼んでくれてる!?」
高校生になって拓人に2回しか呼ばれたことなかったのに!
「ずっと呼びたかったけど、なんか俺のプライドが邪魔した」
「は?」
そのプライドおかしすぎるやろ…
「そんなプライドいらんやん!」
「俺もずっと呼びたかったって言ってるやん!
歩夢、歩夢、って。」
「呼べば良かったやん!ばか拓人!」
「だまれ、あほ歩夢!
…じゃなくて、好きやから。
歩夢のことずっと」
「あたしも拓人好き…っ」
「ん、ありがと。
それよりさっきの話の続き。」
「え?」
さっきの話…?
「だから、抱きしめ返してたのと、チョコの話。」
これはまずい…
「チョコは、拓人にわたすとき紙袋から出して渡して、ちっちゃくみえただけ!」
うん、これは全然問題ない。
「じゃあ抱きしめ返してたのは?」
「…」
言われへん。
諦めるから抱きしめてって言われたとか
絶対言われへん…
「あーもういい。」
フワッ
拓人は聞くのを諦めてあたしのことを抱きしめた。
「もう他の男に抱きしめられんなよ?」
「…なんで…?」
あたし肝心な言葉聞いてない。
「もうわかるやろ…?」
「わからんし…」
拓人の口から聞きたいから。
「俺と付き合ってほしい。」
「はいっ…」
あたしはその瞬間涙が溢れた
「おい」
あれ、なんか拓人怒ってる…?
「俺があげたネックレスは?」
「ここ」
あたしはさっき図書室を飛び出したときにポケットにいれたネックレスを取り出した
「なんでとってんの」
「ははっ」
拓人が怒ってるのかわいくて思わず笑ってしまった
「おい、笑うなや」
「どんなネックレスやろ〜って思ってみたかったから一回外したら、この文字見つけたから」
あたしはそう言ってネックレスに彫られてる~You are important.~の部分を指差した
「あー…」
拓人は自分から聞いたくせにかなり照れてる
「ほんまは春馬と歩夢が付き合ってると思ってたから、渡さんと捨てようと思ってたけど、今日瀬戸と仲よさそうに図書室で話しててムカついて…
寝てた歩夢のことを瀬戸が起こそうとしてたけど俺が起こすからって言って帰ってもらって…
歩夢にネックレスつけて帰った
…って言うか逃げた…」
嬉しい。嬉しい、だってそれって
「ヤキモチ…?」
「そうやけどなんか悪い?」
「全然」
そう言うと拓人はもう1度甘いキスをあたしに落とした
触れるだけのキスやったけど、あたしには十分すぎるぐらいで。
「やっと俺のもんになった。」
「うんっ。」
拓人、ほんまに大好きやで
「それより」
「うん?」
「瀬戸むかつく。」
「え…」
あたしが寝てる間になんかあった…?
「俺が、歩夢は俺が起こして帰るからって言ったら、大丈夫、俺彼女おるから安心して
とか言ってきた
俺の気持ち見透かしやがった」
「あははは!!」
拓人面白すぎる!