目が覚めたら、そこには見慣れた天井があった。



ピピピ、ピピピ、ピピピ、、、
無機質な機械音が部屋に鳴り響く。


俺は起き抜けのぼんやりした状態で
のろのろと腕を上げアラームを止めた。

起きる時間を告げるこの音に、
毎回うんざりしてしまう。
でもいつも時間差でもう一回アラームをセットしているから
二回目のアラームが鳴るまで
まだ少し余裕がある。

その二回目のアラームが鳴るまで、
俺は今日みた夢を思い返してみた。



いつもいつも同じ夢を見ているのに、
何か大事な夢のような気がするのに、
いつも絶対に思い出せない。








ビービービー、ビービービー、ビービービー、、、



無情にもさっきとは違う音が鳴って、
やっと重たい体を起こした。



「ふぁ〜~~」




両腕を伸ばして上にグーッと上げる。
背中を反らして深呼吸をすれば、目が覚める。

それは毎日の習慣で、
朝の大事な儀式とも言えるかもしれない。


「さて、」


寝癖のついた髪を抑えようと
頭をカシカシと掻きながら、
俺は朝の支度を始めた。


顔を洗い、簡単に朝食を食べ、それから着替え。
必要最低限のことをして、家を出る。

ギリギリまで寝ていたい!

その気持ちを優先した結果、
それがいつもの手順になった。



今日は幸い雨の予報でもないし、
リュックをからって、
あとは手ぶらで行けそうだ。
朝の電車は通勤ラッシュという程でも無いけど
そこそこの込み具合で、
出来れば両手が開いていた方が楽なのだ。

(さて、そろそろ出るか)

噛み殺せ無かった欠伸を漏らしながら、
玄関のドアを開けた。


思ったほど気温は低くないらしい。
ふわりと柔らかい風が吹いて、
俺の少し癖のついた髪がふわふわと揺れる。
そういえば寝癖は結局直らなかった。




山本 春希、大学2年の20歳。


高校卒業後、大学に進学するにあたって
念願だった一人暮らしを始めた。


立派に、とは到底言えないが
まぁそれなりに何とかやっている。



料理に掃除に洗濯に、
バイトに遊び、それから勉強も少し。


キャンパスライフはそこそこ順調だ。