「芙祐着替えないのー?」


リコが隣でこれでもかってくらい日焼け止めを塗ってる。



「土屋さんも早く海行こうぜ!」

「先に行ってていいよ」

「先に行ったら見失うだろ!この人混み!」


……だから。
女子だけがよかったのに。


みんな。藍ちゃんまで。
なんで男子の前で水着晒せるの?



……なんて、言えないし。




「大丈夫だって!土屋さん細いじゃん!」


「だから先に行ってていいってばー」


「まじで恥じらい?」

「もしかして処女?」


「なわけねぇだろ!土屋さんずっと彼氏いんじゃん」


「男子くだんない話してないで浮き輪空気入れ手伝ってよー!弥生しかやってないじゃん!」


って藍ちゃんの助け舟。


え?
みんな簡単に脱げるのは
大人の階段のぼっちゃってるからなの?



いや、まさか。


リコはともかく。
藍ちゃん、英文科の幼馴染くんが初彼だし。



経験ないのあたしだけ……とか。


そんなまさかね?



「ほら。浮き輪」


「あ。ありがとヤヨ」


ピンクの浮き輪を与えられた。
みんなは空気入れと格闘中。



「海行かねえの?」


「……脱ぎたくない」


「はぁ?……でもここにいたら熱中症なるだろ」

「だって……男子くるとか知らなかった。恥ずかしいじゃん、普通に」


ってヤヨ相手に愚痴。
ヤヨもその男子なんだけどね。