リュカのその言葉に、ベルはしばらく考えるそぶりを見せて、だがすぐに何か思いついたようにパッと顔を上げると。
「あ、じゃあ、ききたいことがあるんだけど」
「なに?」
「親方の仕事場を見学しに行ったらダメ?」
エドガーはサン・マテュー教会で天井画と祭壇画を制作していると、さっきリュカが言っていた。
実を言うと、それを見に行きたくて、ずっとうずうずしていたのだ。
キラキラと瞳を輝かせて尋ねるベルに、リュカはしかし、苦い顔をする。
「んー。いいけど、場所わかんないよな? 俺、留守任されてるから、工房離れられないんだ」
「えっと、じゃあ、簡単な地図をくれたら、あとは人に訊いたりして僕一人で行くから。……ダメかな?」
ベルがそう言うと、リュカはまだ心配そうに眉間を曇らせていたが、「わかった」と頷いた。