名倉は、また目を丸くする。

「うそ!?だれだれ?どんな人?」

男子も恋バナが好きだって言うのは、あながち間違いじゃないかもしれない。

そこで更に、私は名倉に気づいてもらうためにまた仕掛ける。
「2組で、背が高くて、運動部で、元東小!」
もちろん、全部名倉に当てはまる。

すると、名倉は、考えたあとに
「えー、拓海か隼人しかいないじゃん?どっち?」

ほんとに鈍感だな、こいつ...。
「自分」って選択肢ないの??

「えーどっちー??モテてるのは隼人だけど、望結と良く喋ってるのは拓海でしょ?んー」

まじで、呆れる。
ちょうどいいとこで、うちと名倉の別れる道に差し掛かった。


「じゃあね、名倉ー」

そう言ってうちは、そそくさと逃げる。

「望結ーーーーー!好きな人誰なんーーーー???」

名倉は大声で言う。
好きなのは、お前のことだよ!...なんて言えるはずもなく私は誤魔化すように

「名倉には絶対に教えなーーーーーい!!!」

と叫んで走って帰った。