「あ.......な、んで...っ、うそっ...........」




だから、亜紀は私にあんなことしたのか。



追いつかない思考回路をなんとか巡らせながら、空っぽの頭で考える。


でも…。



でも私は心のどこかで分かってたんだ。




いつかあんな光景を目の当たりにする日が来るってことを。
彼には、私以外の誰かがいることを。




昇降口を出てすぐは校門。


その校門の前には先ほど私と帰るのを断った彼。


そして彼の隣には、名前も知らない女の子。確か、彼と同じクラスだった気がする。



彼と彼女はどんな関係なんだろうか。
そんなこと、今はどうでも良かった。


ドクン、ドクンと大きく音を立てる心臓の音に気が付かないフリをしてふーっと息を吐いて落ち着かせる。



「ありがとう、亜紀。ごめんね、気遣ってくれたのに」


「いやっ、結局隠せなかったし............大丈夫?」



少し悲しそうな表情で私を見つめる亜紀。



そんな亜紀を見ていたら、大丈夫?なんて聞かれたら…平気な顔なんて、できないよ。



本当は、すごく辛い。悲しいしこの気持ちはどこにぶつけたらいいのか分からない。