渡り廊下を歩きながら、亜紀とたわいのない話をする。



亜紀といる時間は、彼のことを考えなくて済むから気が楽だ。



歩幅を合わせながら顔を見て話をしてくれる亜紀に感謝しながら昇降口に向かう。



すると、急に亜紀が立ち止まって私も釣られて立ち止まった。






「......?どうしたの、あ、」



──ぎゅっ



名前を呼ぼうとすると突然正面から抱きしめられて亜紀の胸元に顔が埋まって、言葉が遮られた。



ちょっと待って、苦しい...!
それに…どう言う状況??


状況を確かめたいのに亜紀が目の前で力強く抱きしめるから何も見えないし話もできない。



あたふたしながら行き場のない手をどうしようか悩んでいると亜紀が耳元で囁いた。




「まだダメ。なにも見ちゃダメだからね」



「っ、........まって!」




急に耳元で小声で喋られて思わずビクッとしてしまう。


羞恥心に耐えられなくなった私は思い切り亜紀の身体を引き剥がした。





でも、私の目の前に映ったのは。