何を言い返しても自分のペースに持っていくもんだから、いつも負かされている気分だ。


こうして抱きつかれるようになったのは今年に入ってからだし、こんなの慣れるはずないよ。



「何言ってんの...それに彼氏いるの分かってるんだからそろそろこういうのはやめてよね」



「あんな彼氏別れちゃえばいいじゃん?俺ならこうしてずっと一緒にいてあげるよ?」



なんて言いながら隣でジーーっと私のことを見つめる亜紀。


だから、顔がいいんだってば。




「気持ちだけで十分。それに私は別れるつもりないし。ほら、早く帰ろうよ!」


亜紀からの視線を無視して、身支度を終えて立ち上がる。


亜紀は、「ちぇっ」と小さく呟きながらカバンを背負い、椅子を元の場所に戻した。



亜紀は、1人で帰る私を可哀想に思ったのか、同じ最寄り駅なのもあって一緒に帰ってくれている。



はじめは彼氏がいるのに、って罪悪感もあったけど亜紀に恋愛感情はないし亜紀自身もそう。





だから、親友のような感覚で隣にいる。