「亜紀」
「ん?なあに?」
顔を隠しながら、目だけ出した。
本当に亜紀が私の隣にいてくれることを、噛み締めながら私は。
「ずっと、隣にいてね」
亜紀になら、素直な自分になれる。
かわいい自分を見せたい、と思う。
離さないでほしい、たくさんギュってしてほしいと思う。
「当たり前じゃん。離さないし」
ハッキリ、と揺らがない言葉に自信が持てる。
亜紀の言葉は、信用できる。
だから、亜紀の言葉ひとつひとつが嬉しいんだ。
「あ、そういえば言ってなかったっけ、」
亜紀が正面に立って、改めて私を真剣な表情で見つめる。
私も姿勢を正して向き直る。
そして息をひとつついた亜紀は、
「好きです、俺と付き合ってください」
まっすぐに、気持ちを伝えてくれた。
思わず涙が出そうになったのをおさえながら私も返事をした。
「…お願いします」
そう伝えれば、優しく抱きしめてくれた。
亜紀に抱きしめられるこの時間が、好きだ。
付き合って初めてのぎゅっ。
これから、きっとたくさん数えきれないくらいしてくれるんだなって、未来のことを考えて嬉しくなった。
「大好きだよ、李緒」
願わくば、この先ずっと隣にいるのはキミがいい。
(終わり)