教室まで戻ってくると、もう誰も残っておらず2人きりだ。



密度の減った教室はクーラーが効いて、じんわりかいた汗にしみて、気持ちいい。


緊張感が一気に消えていく。




やっと、終わった。


ほとんど亜紀が助けてくれたもんだけど。





「島崎」


「亜紀、ありがとうね…」



まだ握られたままの手をギュッと強く握り返す。



すると、亜紀も気付いて同じようにギュッと同じように握ってくれた。



幸せだ。



陽太とできなかったことも、亜紀とならこれからたくさんできそうだ。



「やっと、俺のものになったね島崎」


「えっーと……おかげさまで、?」



「ははっ、なにそれ」



目を細めて笑いながら、亜紀は私の目を見つめて視線を外そうとしない。


ドキドキしながら、私も亜紀をジッと見る。



すると、亜紀の方が先に降参して、目を逸らす。



「島崎!反則!そんなかわいい顔しないで…!」


「ええ!?」



なに、それ…。


顔を赤く染めて少し拗ねたように顔を隠す亜紀がかわいくて仕方がない。