「あいつとも、関係を切りたくないから…李緒と付き合ってれば俺も価値上がるし」
……え?どういうこと?
「李緒は男子の中で人気だし、そんな李緒と付き合ってたら自慢できるんだよな。でもあの子は楽しいし相性もいいしさ…」
それだけのために、私と付き合ってたってこと?
なにそれ、意味分からない。
理不尽な言い様に、陽太への今までの想いなんて一瞬で消えていく。
こんなやつだったなんて、気付けなかった自分を殴りたい。
どうして返そうか、少し悩んでガツンと言ってやろうと陽太の方を見ると…。
陽太のうしろの方からやってきたのは。
「堂々とフタマタはさすがにやばいって」
「え?…っ!!!」
亜紀が陽太のうしろにまわり、1発。
陽太が亜紀の方を振り返った瞬間に。
痛そうなゴッ!という鈍い音が響き、陽太は少しよろめいて状況を把握しようと亜紀を見上げる。
だいぶ痛かっただろう、手で殴られた頬をおさえながら亜紀と目が合い、睨みつける。