「ほんっと、島崎は素直じゃないなあ。それもかわいいんだけどね」
整った、綺麗な顔が近付いてくる。
そして私を包み込むように抱きしめる。
突然の出来事に、私は驚いて固まってしまう。
なんで、抱きしめるの?なんで、そんな優しい顔をするの?
戸惑いながら、私は亜紀に問いかける。
「なんでこんなことするの?」
「だって、ギュってしてほしそうな顔してたじゃん」
そんなの、答えになってない…。
そんな顔してないもん、言えないよ。
「それに、俺がしたかったから」
「え、……?」
どういうこと、亜紀?
ちゃんと教えてくれないと分からないよ。
ドキドキと速い鼓動が亜紀に聞こえてしまいそうで、余計に速くなってしまいそうだ。
「俺は、島崎から離れたりしないよ。だから心配しなくてもいい」
「……ほんと?」
そっ、と身体が離れて亜紀が私を見つめる。
嘘なんてついているような顔には見えない。
いつもの、私を見つめる表情だ。