亜紀side
この日、教室は少し浮き足立った雰囲気が溢れていた。
集団でかたまる女子たちはきゃっきゃっと笑いながらひそひそと話をしていて、男子もソワソワしながら辺りを見渡している。
そして、担任の先生が教室に入ってくると席に戻り待ちきれない様子で先生に声を掛けた。
「先生早くやろうよ〜!」
「待ちきれないから急いで!」
1人が言うと影響されて大勢が先生に集る。
先生は少し困惑した表情を見せながら落ち着けよ、と言ってため息をついた。
これから始まるのは、お楽しみの席替えだ。
現状の席はあまりにもうるさくて授業に影響が出るからと別の先生から苦情が出たらしい。
かくいう俺も、席替えをしたいなと考えていた。
今の席は島崎から遠くてしかも後ろを向かないと島崎が見えないからかなり不便。
今回は、なんとしてでも近くになりたい。
なーんて、女子みたいな発想を浮かべながら先生がくじ引きの準備を終えるのを待った。