少し経ってから落ち着いてきた彼は、口を開いて私にこう伝えた。



「ごめんっ、今日やっぱり一緒に食べれねえわ!呼び出しくらっててさ!ごめん!」


「えっ……」



虚しくも嫌な予感は当たってしまった。


肌を打ち付ける太陽の日差しなんて気にならないくらい、彼の言葉が頭の中で響いた。



…すごく楽しみにしてたのにな。


どうせ、あの女の子と一緒に食べるんでしょ。
少しずつ…信じられなくなってきちゃった。




「そっか…じゃあまた別の日に!」


「また連絡する!あ、あと今日も帰れないから」



彼は頭をちょっとだけ下げて謝ると、元来た方へ走って行ってしまった。



1人取り残されてしまった私と、右手に残った渡しそびれたまだひんやりしている缶コーヒー。


行き場のなくなったその缶コーヒーを見つめる。




「…捨てちゃおっかな」


「それちょうだい」



ポツリと呟いた言葉に、応答。


驚いて顔を上げれば、すぐそこにいたのは亜紀。



どうしてこんなところに?


もしかして、追いかけてきてくれたの?