今日の私はちょっとだけ気分がいい。


午前中の授業はほとんど頭に入ってこないくらいには浮かれている。



なぜなら、今日は久しぶりに昼休みに会えることになったから。



たまに、彼の方から『昼休み一緒にご飯食べよ』とメッセージが送られてくる。



今の私にはこれ以上ないしあわせだと思う。




午前の授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると、私は携帯電話とお弁当、財布を持って教室を出る。



しかし、ドアの前まで来たところで声を掛けられた。



「島崎、今日はそっちなの?」


振り返ると、亜紀が机の上でグタッとなりながら私の方を見ていた。


この時期は特に暑くて力が出ないらしい。



亜紀には、私が昼休みに教室を出る理由はもうお見通しのようだ。

いつもは一緒に食べてるしね。




「うん、だから行ってくるね」


「……は〜い、いってらっしゃい」



一瞬黙り込んだあと亜紀はヒラヒラと手を振って見送ってくれた。



私は約束していた中庭に行く前に自販機に寄ることにした。



彼の好きな缶コーヒーを買うためだ。