亜紀side




7月も中旬。


クーラーがついていても、約40人もいる教室の中は暑苦しくて仕方がない。


特にダラダラするのが好きな俺にとっては最悪でしかないけど。



「おはよう、亜紀」



島崎を見たら別にどうってことなくなるのが島崎のすごいところ。


同じクラスに島崎がいることが俺にとって1番の幸せであって、なにものにも変えがたい。



「おはよう、島崎さん!」


「あ、おはようー!」



島崎はみんなに平等に優しくて愛嬌があって、素直じゃないところもあるけど優しくてみんなに慕われる存在だ。


真っ黒な髪に瞳。長い睫毛は上にあがってぱっちりとした目元で、思わず見つめてしまう。


肩まで伸びたセミロングは、つい触ってしまいそうなくらいサラサラと靡いている。



でももちろん触りたいなんて思うのは島崎だから。


俺は、島崎のためならなんでもしたいし、島崎とずっといたい。



だから、彼氏がいようと友達がたくさんいようと関係ない。



どんな関係であれ、隣にいてくれるなら。