「落ち着いた…?」


「うん…もうへいき、」



ひとしきり泣き切ったあと、私はやっと立ち上がることができた。


手を取りながら一緒に立ち上がってくれる亜紀。



「ほんとにありがとう、亜紀……本当大好き…」



ポツリと、頭に浮かんだ言葉をそのまま伝えた。



亜紀には至れり尽くせりで、申し訳ない気持ちと嬉しい気持ちでぐちゃぐちゃだ。



そんな亜紀を見ると、何故か口を開けたまま硬直していた。


…そんなに変なこと言ったっけ?



「っっ、……島崎、それはだめだよっ…」



「な、なにが…!?」



「大好き、とかへいきで言うなよ…!」




ボッと顔を赤くさせながら照れ臭そうに顔を背けてあたふたする亜紀。



こんな亜紀見たことなくて自然と笑いがこみ上げる。



「ごめんね、でも本心だから」


「それでもだめ!……俺は嬉しいけど、勘違いするだろ…っ」



最後の方はうまく聞き取れなかったけど、それを言ったきり亜紀は顔を合わせてくれない。



すねちゃったのかな…でも、かわいい。




「…ゴホン、とりあえず…さっきのは気にするなよ?」



さっきのっていうのは、彼のことしかないよね。



「うん、大丈夫…。亜紀のおかげですこしスッキリしたし、それでも、好きな気持ちはかわらないから…」



あんな姿を見ても嫌いになれないなんて、バカだとは思うけど。


でも、やっぱり急に嫌いになれるはずもなくて…。とりあえずこの気持ちは胸の奥に閉じ込めておくことにした。