「やだーっ!やっぱりこんなんで外歩けないよ!」
家に帰って私は浴衣に着替える事となった。
あの、俊也とペアの浴衣に。
“一緒に花火見に行くぞ!あの浴衣着て!”
ピンクの帯をぎゅっと締められて私は思わず、ぐえっとなった。
「いいじゃない!すっごく可愛いわよ~」
お母さんがお尻を景気よく叩いた。
「痛っ!」
「よし、完成!」
浴衣に合わせて髪をアレンジして、髪飾りをつけた。
そして、手にはほんのりピンクの巾着。
着慣れない浴衣を着て、居間へ行くともうすでに浴衣を着た俊也がいた。
私は、言葉を失くした。
だって俊也、ものすごく似合ってたから。
柄も小物も色も、俊也によく似合ってる。
髪型はいつもみたいにふわふわしたまま、髪を耳にかけている。
これも浴衣にぴったり合ってて。
当たり前だけど、女の子が着た浴衣とは違くて……。
何ていうか、胸がぎゅーっと……。
「どうした?俺に見とれた?」
その言葉でハッとした。
俊也が満足げににんまりと笑っている。
「はっ、違うわよ!」
「お前も、なかなかいいじゃん」
「え?」
うわ、何か…照れる……!
「てか、本当にペアじゃん…。やっぱあたし…!」
「あっもう花火打ちあがる!早く行くぞ、友香!ほら、下駄はいて!」
俊也が慌てて言い、私に履きやすいように下駄を揃えてくれた。