「おーい、友香!」
ゲッ!
「お前さ、昨日俺んちにスカーフ忘れてったぞ。ほれ!」
「ばっ!ちょっと、俊也!」
俊也が赤い私のスカーフを高くかざして振り回すと、一瞬で教室中がざわめいた。
“まさか…!”
“えーマジでぇ?!”
“ついに昨日あいつら……ヒューヒュ~!”
私は顔を真っ赤にして、乱暴にスカーフを奪い取った。
そして小声で怒鳴る。
「ばか!」
「何だよ、俺はただ親切に忘れ物を届けてやっただけじゃん」
奴は口を尖らせて、青と白のエナメルバッグを机に放った。
「あんな大きな声で言わなくてもいいでしょ…!また変な誤解されちゃったじゃん!」
「ほら、予鈴鳴ってんじゃん。さっさと席に着く!はい、着きましょうねー」
「んもう…!」
予鈴が鳴り、うまく言いくるめられた私はおとなしく自分の席に着いた。
すると前に座っている絵理が、ニヤニヤして肩を叩いてきた。