「ごめん。俺、どうしても一緒に、花火行きたい奴がいるんだ」

え?

「だから、ごめんな」


申し訳なさそうな俊也の声を聞いて、女の子は泣きながら走り去ってしまった。

俊也が一緒に花火行きたい人って……誰?


すると急に、ポンっと後ろから肩に手が置かれた。


「ぎゃーっ!」

「と、友香ちゃん?」

「せ、先輩!!」

「ごめん、びっくりさせちゃった?」

「いえっ、何か本当すいません!」


大げさに驚かれて、びっくりしてるのは先輩の方だ。

うわぁ、しょっぱなからへましちゃったよ~…!

これも全部、俊也の……


「練習がちょっと長引いちゃって、遅れてごめんね。待った?」

「いえ、全然…!」

「で、話って何?」

「えっと……」



先輩がきょとんとした目で私を見てる。

勇気出して!

後悔しないために、気持ちを伝えるために!



「先輩!明日の花火大会……私と、一緒に行ってくれませんか?」


言っちゃった……。

ぎゅっと目をつぶる。


花火大会に誘うって事は、遠まわしに告白してるのと一緒。

返事はなかなかない。


その時、予想通りの優しい声が返ってきた。