もう、私のバカ!
南先輩は私のこと知らないんだから、隠れなくてもいいのに…。
もう私の頭の中はパニックで、南先輩たちの話を盗み聞く耳にしか意識が回らなかった。
思わず両手で口を押さえる。
「南、隆弘くんと付き合ってんの?」
隆弘…北川先輩のことだ。
「ううん、付き合ってないよ」
付き合ってないんだ……!
「でも隆弘くんってさぁ、絶対、南のこと好きだよね!」
「そ、そんな事ないよ」
「いやいや、見てれば分かるって!ていうか、恥ずかしくなるくらい顔に書いてあるもん。すっごいお似合い~」
やめてよーなんて言いながら、南先輩はまんざらでもなさそうだった。
だんだん声が小さくなる。
二人はもうトイレから出て行ったのに、私はなかなか動けなかった。
やっぱり、あの二人ってそういう関係なんだ……。
本当に完璧で、お似合いなカップル…。
何だか自分がみじめになった。
とぼとぼ教室に戻ると、ドアの所に絵理が走ってきた。
かなり興奮している。
「何?」
「見て、友香!」