次の日、結局私は何も行動できずじまいで……

とうとう当日が来てしまった。


「やっぱり無理だよ~…」

「そんな弱気でどうすんの!」

「だって~」

「はいっ、じゃあ目の前に先輩がいると思って言ってごらん!」


おお、怖っ。

絵理がスパルタになっている…。


誘うなら今日しかないと思うと、もう頭がこんがらがって、胸が詰まって、何が何だか分からなくなってくる。

とりあえず、絵理の言う通り、練習だ…っ!



目の前には誰もいなけど、ここに北川先輩がいると考えて……。


そう頭の中で仮定して目を閉じると、いるわけないのに目の前に先輩がいるような気がして、胸がどくんどくんと跳ねた。


心を込めて……!


「先輩……わ、私と一緒に花火大会にい、行きませんか!?」

「いでっ!!」


目を開けると、思い切り差し出した手が通りがかった誰かに激突したらしい。


「つぅー…わ、わき腹に…ヒット」

「ごめん!!…って、何だ、俊也か」

「何だって何だよ…ってぇ~」

「悪いけど今ちょっと忙しいの!邪魔しないで!」



すると俊也は口を尖らせた。