修羅の懐に入った莉々は、ノーモーションから放つ最大威力のパンチを繰り出す!

オートゥリズム。

全身運動を用いた無拍子とは性質が異なり、上半身(特に背筋)をうまく利用した技であり、威力は劣るが発動前の溜めと発動後の隙が少なく、連射ができる。

そのオートゥリズムにより、修羅の巨躯を滅多打ちにする莉々!

しかし。

(何コイツ…!)

一方的にパンチを浴びせながら、莉々は戦慄していた。

どういう体なのだろう?

トラックかダンプのタイヤを殴っているようだ。

弾力がありながら、人体とは思えぬほどに硬い筋肉。

どういう鍛え方をすれば、こんな筋肉の鎧に身を包めるのか。

まさかこの男、本当に鬼か修羅なのか?

「そんなもん格闘特区にはいないわよっ!」

莉々はカポエイラの技、チゾーラ・ジペスコッソを放つ!

逆立ち状態から修羅の顔を両足で捕らえ、そのまま一回転し脳天を地面へ激突させ…ようとして。

「何だお前の技は」

修羅の巨躯は、微動だにしなかった。

「曲芸か?」