「そんな技を、一体誰が…あっ」

言いかけて、莉々はハッとする。

龍宇の言わんとしている事が、やっと理解できたのだ。

「まさか龍宇さんのお師匠さんが…?」

「……」

龍宇は肯定も否定もしない。

だが、古流空手を実戦レベルで使える闘士など、他に知らない。

ましてやプロレス団体のトップレスラーを病院送りにするほどの使い手など。

「莉々」

龍宇は背を向ける。

「悪いがここからは一人で帰ってくれ。そして暫くはストリートファイトは控える事だ…ああなりたくないならな」

龍宇の言葉を聞きながら、莉々は救急車で搬送される三沢を見送った。