予想外の修羅乱入で動転する莉々と男性。

しかし、肝心の龍宇は落ち着き払っていた。

寧ろこの乱入を、予期していた節すらある。

「お久しゅうございます、師匠」

「探したぞ、龍宇。こんな茶番に出場してくれたお陰で、幾分見つけやすくはなったがな」

意識のないロドリオを投げ捨て、修羅は一歩二歩と歩み出る。

「さぁ死合うか」

隠しもしない剥き出しの殺気を前に。

「待って下さい、師匠!」

龍宇は叫んだ。

「教えて下さい!何故俺の前から姿を消したのです?何故このような殺戮を繰り返すのです?我が流派は活人拳を源流とする格闘術の筈!」

「流儀流派など些末な事」

修羅は言った。

「武道格闘技は人殺しの技術。それだけだ。流儀も流派もないわ」