その時だった。

癖っ毛の黒髪、蓄えた口髭、褐色の肌を持つ隆々とした筋肉を柔道着に包み、ロドリオが龍宇達の前に姿を現した。

…血塗れになり、引き摺られて。

「なっ!」

驚愕する莉々と男性。

既に昏睡状態のロドリオを引き摺っていたのは、莉々があの夜襲われ、半死半生の目に遭わされた鬼の如き男、修羅だった。

「修羅!」

まだあの時の負傷が癒えていないにもかかわらず、闘士としての本能からか、反射的に身構える莉々。

まさかこんな場所で、カーニバル決勝戦直前に修羅と遭遇する事になるとは。

本来の龍宇の決勝戦の相手であるロドリオは、修羅によって失神させられている。

いや、もしかすると殺害されているのかもしれない。

これは、修羅によるカーニバル決勝乱入と考えていいのか。