でも私は昨日それすらしなかった。


何も千歳くんに返さなかったんだ。





「…ごめん」


そうは言うものの、私だって返さなかった理由がある。



…高坂先輩とのこと、聞かなきゃいけないのに。



「……」


どうしてもそれを聞く勇気が出ない。


和と香織に相談したときは言おうって決めてたのに。