きっと、即答できないあたしは最悪なんだ。



『ごめん、夏希。

俺…変なこと言ってるよな』


あたしを開放した大ちゃんの表情はあのときと同じだった。

あの、県大会で負けた日と同じだった。



「大ちゃん…あたしは、あたしは…『いいよ、もう』


あたしの言葉を途中で遮る大ちゃん。

そして真っ直ぐにあたしを見つめて


『最初から分かってた。

俺は桐島先生に敵わない、って。


敵うはずがない、って。


……そんなこと、最初から分かってた。』


と、言った。


怖かった。

これから大ちゃんが言おうとしていることを考えると。


どうしようもなく、怖かった。



『俺…もう無理だ。

これ以上、夏希の傍にいられない。


もう…耐えられない。』


大ちゃんは海に視線をずらす。


地平線に夕日が沈んでいく。

その光景は今までにない感情をもたらした。



言葉では言い表せない、この胸の奥に染み渡るキモチ

一体、なんなんだろう。