『大ちゃん、優しいもんな
夏希は自分が精神的にキツイとき、
近くで支えてくれる人がいるとその人に頼っちゃう。
自分ではダメなのはよく分かってんのにな。
強いくせに、そういうのは全然ダメだから、お前は』
兄貴はそう言って自分の部屋に行った。
やっぱり、あの一言だけで兄貴は全てを把握できたらしい。
にしても、あたしは兄貴に全てを見透かされている。
そう言えば、こういうこと2回目なんだっけ?
赤井みどりにいじめられて、
階段からわざと落ちて、
気づいたら保健室で。
そのとき、傍にいてくれた陸に頼った。
支えてもらった。
で、今回は2回目。
桐ちゃんと約束したのに、
桐ちゃんはいなくて。
その代わりに大ちゃんがいた。
だから、大ちゃんに頼った。
ホントに兄貴の言う通りだ。
”強いくせに、そういうのは全然ダメだから”
そういうの=精神面の大ダメージ。
ある程度ならなんとかなるのに、
本当に辛いとき、涙が出そうなくらい辛いとき、
あたしは誰よりも弱くなる。