「桐ちゃん、勝手すぎる


なんでキライにならなくちゃいけないの?

どうして忘れなきゃいけないの??


バカ…桐ちゃんのバカヤロー」


夏希に睨まれる。



『……お前のためだろーが』


そう小声で漏らす。


俺は勝手なんかじゃない。

夏希は俺の手で幸せにできない、
そう思ったから手紙を書いた。


待っていてなんかほしくなくて。
どうせならキライになってほしかった。


本心は…真逆だったけど。



「あたしのため、って誰が言った?

誰が…決めたの??


あたしが決めることでしょ、それは。

桐ちゃんが決めることじゃないじゃん」



『でも俺は…「桐ちゃん」


夏希に言葉を遮られる。


夏希の目は真剣そのもので。

視線を交わすのが怖かった。



昔みたいに俺の考えを見透かされるんじゃないか、

そう思うと目を合わせることができなかった。