『夏希、明日朝早くに迎えに行きます。

だからこれを持って待っていてください。


僕の彼氏としての役目は明日で終わりです』


ポケットから大ちゃんが封筒を取り出す。

涙でぼやける視界と震える手


あたしは大ちゃんからそれを受け取った




「…………航空券?」


その封筒の中には航空券が入っていた。



『中には行き方を書いた紙があります。

それを見て桐島先生に会ってきてください。


今度こそ、ちゃんと幸せになってください』


大ちゃんは涙を拭い、真っ直ぐな瞳であたしを見つめる。



「でも大ちゃん…『夏希』


あたしの言葉は大ちゃんによって遮られる。



『いい加減、そういうのはやめてください。

僕だってこんなことしたくない。


本気で夏希が好きだから。

でも、好きだからこそ夏希にはちゃんと幸せになってほしい。


人の優しさを素直に受け取るのも大切ですよ』


大ちゃんの言葉を聞いたあたしは航空券を抱きしめた。


せっかく大ちゃんがくれたんだ。

大ちゃんが勇気のないあたしの背中を押してくれたんだ。



決めた…決めたよ、大ちゃん