『桐島先生は生徒を好きになった自分が許せなかった。
だから、あの人はこの学校を去った。
俺、この話を聞いたとき信じられなかった。
桐島先生の責任感が信じられなくて。
そんなこと言ったら俺、どうなるんだよ?
夏希が卒業する前に告白だってした。
でも桐島先生は違うだろ?
夏希が卒業するまで我慢した。
それなのに生徒を好きになったから、って離島に行ったんだ。
いつ帰ってくるか分からない、そう言ってた。
約束した日に帰ってこられるかも分からない、って。
夏希…お前はきっと、桐島先生が約束を忘れてると思ったんだろ?
それは違う。
……違うんだ
桐島先生はきっと、忘れたことなんてない。
夏希がそうだったように、
桐島先生だって3年間想い続けてたんだ。
手紙になんて書いてあったかは知らない。
でもきっと桐島先生のことだから、
『キライになってくれ』とか
『忘れてくれ』とか書いたんだろうな。
それは決して桐島先生の本心なんかじゃない。
今もまだ、あの人は夏希が好きで。
離島でお前を想いながら今日もきっと生徒にソフトボールを教えてる。
夏希…?
それでもお前は俺の隣にいてくれるか?
俺の話を聞いてもまだ、俺の隣にいる…って言ってくれるか??』
いつから…
いつからあたしの涙腺はこんなにも緩くなってしまったんだろう。
沈みかけの夕日と
大ちゃんの悲しげな瞳と
桐ちゃんの話
この3つのせいで、あたしの瞳からボロボロと涙が溢れ出した。