ゼロは引きつった顔で彼を見ている。

余裕がないゼロを見るのは初めてだ。



これは、都市中に聞こえてるんじゃないかな…?



私は密かにそう思った。





すると、おじいさんが私の方を見て言った。




「フィオネは入りなさい。

ようこそ。わしがグランじゃ。ジンから話は聞いておるじゃろう?

ささ、夕食を用意しておいたよ。」




私の名前を知っているんだ!


…というよりも、すべてお見通し?


魔法で調べたのかしら。




ジェノバとは違うが、どこか懐かしくて、安心した気持ちになる。







ゼロの方を見ると、眉間にしわを寄せて
険しい顔をしている。



予想通りの対応だ、と言わんばかりの顔だった。





「…俺はいいから、行って。フィオネ。」





ゼロが静かに口を開く。



私は、少し迷っていたが、
ゼロをその場に残したまま、
ログハウスへと、入っていった。








「はぁ………。
……どうすっかな…。」








ゼロのため息が聞こえた。