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カァ、カァ、




夕方の森に、カラスの鳴き声が響く。




町外れの森は、思ったより広く、
私は道に迷わないように、ゼロの隣を離れないように歩く。






ゼロは、すいすいと、森を進んで行く。




グランさん…。

会うのは初めてだ。





ゼロも、少し緊張しているように見える。






少し歩くと、どこからか、美味しそうな匂いが漂ってきた。


シチューみたいな香りだ。






「もうすぐ着くぞ。フィオネ。」






目の前を見ると、小さなログハウスに明かりが灯っているのが見えた。




あれがグランさんのお家…?



私はまじまじと見つめた。



丸太でできた二階建てのログハウスは、
どこか懐かしさを感じさせる。


シチューの匂いも、ここからしているようだ。






家の近くまで来たときだった。










急に、バタン、と扉が開いた。






私とゼロは、驚いて、ドアの前に立つ人物を見つめる。








「……お前が来るのは魔力の気配から分かっていたぞ。…ゼロ!」







ものすごいオーラを出しながら、杖を持った老人がこちらをギン、と睨む。





そして次の瞬間、ドスの効いた怒号が響いた







「どのツラ下げて戻ってきたんじゃ、このドラ息子ー!!!!!



お前の飯はここにはない!!彼女だけ置いて、お前は野宿しろ!」







マシンガンのような怒鳴り声に、さっきまで鳴いていたカラスが飛んでいく。