「…いや、別になんでもない。
時が来たら、解くさ。」





ゼロは、ぱっ、と顔を上げると
そう、いつもの調子で言った。





何処と無く、違和感を感じていたが、
私はあえて追求しようとはしなかった。




「そういえば、ブラッドさんたちは、パトロールとかいいんですか?」




ゼロがガーディアンの二人に尋ねた。



すると、ブラッドは、
しまった!という顔で、レオを掴む。




「こいつのせいで、すっかり忘れてた。

すまんな、ゼロ。また今度、ゆっくり話そうな。


……レオ。いくぞ。」




「フィオネ!今度は二人で話そうな。」





そう言うと、彼らは急ぎ足で酒場を出て行く。




ゴリーも、二人の後に続いて、歩いて行く。




「ゼロ、都市にいる時は、いつでも俺んとこに顔出せよ!待ってるからな。」




そう言って、ゴリーは
キィ、と酒場の扉を開けて、出て行ってしまった。






急に静かになった酒場で、私とゼロは
ゆっくりと目を合わせた。




「俺らも寄り道しすぎたな。
グランのとこに急ごうか。」




ゼロは、そう言うと、私の前を歩き出した。





…結局、ゼロの旅のことは聞けなかったな…。





みんな、そこまで知らないみたいだったし…。






これから、グランさんに会えば、何かわかるかもしれない。






私はゼロに置いて行かれないように、早足で酒場を出た。