昔、俺はバンドをしていた。
そこそこ人気でCDも出した。
ある程度売れたがその数日後、
バンドは解散した。
マスターが流そうとしてた曲は
俺達の曲だった。
「また聞きてぇな。」
「無理だよ...もう二度......。」
俺の頭に嫌な思い出が蘇る。
「いつまでも過去にとらわれてちゃ、
あいつらはうかばれねぇぞ?」
追い討ちをかけるようなマスターの言葉に
俺は次の....と言いつつ、
空のグラスを出す。
あいつらの話しは聞きたくない。
「やれやれ....。」
そんな俺に呆れつつ、しゃべるのをやめ
2杯目の紅茶を注ぐ。
いつも通り、
自分の殻に閉じこもる。
自分を守るため、
おもいに蓋をするため、
過去から逃げるため
そして....
誰も傷つけないようにするため....。