カランカラン


聞き慣れた音を聞きながら、

俺はいつも通り店の中に入った。

「いらっしゃい。」

カウンターにいるマスターは、

俺に軽く声をかける。

いつも通りのマスター

いつも通りのカウンター

いつも通りの席。

俺は無言で座った。

「いつものか?」

「....あぁ....」

必要以上は喋らない。

俺は出てきた紅茶を一口飲んだ。



その時、

店内で流れていた曲が変わった。

イントロが聞こえたとたん、

俺の手に力が入る。

「マスター....曲変えて....」

「はぁ、分かったよ。

気に入ってんだけどなぁ。」

ぶつくさ言いながら、

マスターは曲を変えてくれる。

ここにはかなり通ってるから

俺の思ってることが伝わったんだと思う。