いつもの席、

いつもの紅茶、

今日は珍しく店に客が居なかった。

マスターがCDの整理をしていたとき、

ドアが開かれる音がした。

「いらっしゃい。久しぶりだね、何にする?」

「ッス!コーラください。」

昔からの指定席のように、俺の2つ隣の

カウンターに座った。

「はい、コーラ。」

「ども。.......っ、ぶっっ!!!」

えっ。こいつ、いきなり吹いた...。

マスター、コーラに何入れたんだ?

呆れながら紅茶手をつけようとした時、その

学ラン少年が立ち上がり、俺に近づいてきた。

「やっぱり!あの路上で、女の子のギターで

歌ってたってた人!!!」

「っ?!誰だお前...」

「ひどいっす...。俺拍手したのに...。」

...学ラン......拍手......

「っ!!お前っ、あの時の?!」

「へー、歌ってたのか〜。しかも、ギターの

女の子って...。最近遅くまでここにいる訳だ」

マスターが察したようにニヤニヤ見てくる。

このガキ...面倒なことを、

「っ、るせー!マスター、余計な詮索すんな

てめぇも!俺に関わんじゃねぇ!!」

「え〜ひどいっすよ。めっちゃくちゃ

カッコイイ歌声でしたッスよ?ソロデビュー

とか出来ちゃうんじゃないっすか〜?」

-引き抜かれてソロデビューしたりして-

「黙れっ!!!.....っ...」

アイツらの言葉が俺を不安定にさせる。

「隼人、落ち着け...。」

マスターになだめられ、イラついた心を

なんとか落ち着けようと紅茶を一気した。

「あの、...なんか、すみません...。」

ショボンとした仔犬のようになった少年も

隣に座った。