蝉がうるさく鳴く8月の初め。


朝だというのに熱気が立ちこめ、人々は片手にタオルを持って歩く。


そんなある街の細道を、だるそうに歩く高校生が一人。



青雅 翔真(せいが しょうま)だ。


身長175cmの長身に、癖のない金髪。

鼻筋が通った顔立ちに薄い茶色の瞳。


世間では、イケメンの部類に入る。



…残念なことに、彼女はいないが。



「おっはよーー!!翔ちゃん」


後ろから走ってきた短髪の女子が、翔真の背中を叩く。


「イッテェ!!」

「アハハッ!ごめんごめん」


笑いながら手を合わせて謝るこの女子は、林 優子(はやし ゆうこ)。


翔真の小さい頃からの幼なじみだ。