「倉橋先輩!」


「澪!?」


新入生たちの声も、沙耶の声も聞こえない。


人混みをかき分けて、とにかく人がいない所まで走る。



沙耶が危ないと思って勝手に体が動いただけなのに。


なんであんな変なことになってるの?



「もー!わけわかんないー!!」


誰にも届かない叫び声は、風に運ばれ消えていく。





きっかけは、本当にこれだけだったのに。