「お前さ、俺を誘ってるのか?」

そう言って、イジワルく、微笑むヤツ。

えっ!?

いやいや、誘ってないし!!

「この子、可愛いよねぇ!!俺、食べちゃいたい!!」

そう言って、長身のヤツに、後ろから、ギュッと抱きしめられて、オレは心の中でギャッ!!と叫ぶ。

「空!!万里兄!!何やってるんだ!!こいつ、すっかり怯えてるじゃないか!!」

そう言う、もう一人のヤツが、オレの『救世主様』に見える。

だが、次の言葉を聞いたオレは、逃げ出したくなった。

「こいつ、俺が後で、たっぷりと可愛がってやるんだからな!!」

ニヤリッと不敵に笑うソイツも、『救世主様』じゃなく、悪魔でした。

「海、抜けがけは禁止だよ!!」

すると、もう一人、現れた。

可愛らしい美少年、ソイツこそが、オレの『真の救世主様』か!?

だが、その『外見』から、似つかわしくない、超危険な言葉が発せられる。

「ねぇ、何なら、僕ら『全員』と付きあおうよ!?」

オレにそんな恐ろしいことを言う。

それを聞いていた、海里という少年は、眉根を寄せると、

「千尋!!俺は『そんなの』ガマンならねぇ!!『こいつ』が他のヤツに触れるとか、有り得ないし‥‥‥‥!!」

すると、長身のヤツは、

「それ、大賛成!!千尋、いいこと、思いついたな!!」

「おい、万里兄!!」

オレは、長身のヤツに、すっぽりと後ろから、抱きすくめられたまま、硬直して、青ざめていた。

「おーい!!雪!!お前は、どうする!?」

長身のヤツは、今まで、完全無視、スルーを決め込んでいた雪というヤツに尋ねた。

「別に俺には関係ないし、興味もない。」

なっ、何だと!?

こいつ、助けるとか、そういう考え、ないのか?

オレは、さすがに憤慨して、長身のヤツの腕を振りほどいて、コイツらの前で仁王立ちになると、

「あのな!!勝手に話進めんなよ!!第一、オレは『男』なんだ!!しかも、れっきとしたノーマル!!誰が『男』なんかとっ!!」

オレがそう言うと、一同、目が点。

コイツら、オレを『女』だと思っていたな!?

だが、次の言葉を聞いた瞬間、オレは言葉を失う。

「そんなの知ってるさ。」

長身のヤツがウィンクをして、そう言った。

「なっ!!」と、一同は納得!!

なっ、何だと!?

オレが『男』と知って、口説いてきたってことは‥‥‥‥‥。

オレの顔がサーッと青ざめていく!!

「お前ら、『ホモ』か!?」

そうオレが言うと、長身のヤツは、

「人聞きの悪いこと、言わないで下さい。『自由な恋愛』です!!」

にっこりと笑って、そう言ったんだ。

「そっ、そういうのを『ホモ』っていうんだよ!!」

オレは、にじり寄ってくるヤツらから、思いっきり逃げ去って行ったんだ。 

どうして、こうなったかというと、それは、かれこれ、数十分前にさかのぼる。