「あの、聞いてた?」
「……あっ、ごめん。今ボーッとしてた」
本日、放課後の誰もいない教室。呼び出されたのでやって来た。
彼氏がアレだとあたしまでよく見えるようになるらしくて、おかしなことに告白されるようになった。
もしくはまあ、柴崎から彼女奪ってやろうみたいな。あたしみたいなやつなら騙せそうって思われてるらしい。経験済み。
「その、よかったら付き合ってもらえないかなって」
「彼氏がいるんでごめんなさい」
名前もどこの誰かも知らない男子生徒さんは、あたしの言葉に苦笑する。
「何で柴崎くんと付き合ってんの? 弱味でも握ってるの?」
「は?」
そんなもんあるなら知りたいわ。
「だっておかしくない? 釣り合ってないじゃん」
「うん。それをあなたに言われる筋合いなくない?」
もう時間の無駄だなあと思って、踵を返す。用があるからって先に下で待っててもらってるんだ。今日はファミレスで季節限定パフェ食べるんだから。
超楽しみ。パフェが。