「帰るか!」

「うん!」

下駄箱に行き、靴を履き替え校門へ向かう。

私は後ろを振り返って校舎全体を見渡し、

「楽しい1年になるよね?」

そう小さく言った。

これは、毎年学年が上がることにやっているおまじないみたいなものだ。

誰も知らない私だけのおまじない。

何故か、必ずいい1年になる。

「美桜?帰らないの?」

あ!やばい!光華たちのこと忘れてた!

「帰る!」

「うん、帰ろっか。」

「美桜、光華また後でなー」

「また後でね!」

皐月ちゃんと柊さんは帰る方向が逆だ。

「バイバーイ」

私達は2人に向かって手を振った。