「麻衣ちゃん女の顔してっからさ」

「し、してないし!!」

「へぇ~?お兄ちゃんに隠し事すんの?」

「は?え?隠し事って……でも!違うもん!」

「あはははは!麻衣ちゃん“もん”って。可愛いなぁ。でも複雑だな」



違わないけど、慶太郎言いそうなんだもん。
否定しないと!って思っちゃう。


ひとしきり笑われた後、「話反れたな。あはは」と笑顔のまま、再び慶太郎が口を開く。





「とりあえずさ、麻衣ちゃん拐われてくんない?」




今日は驚かされるばかりだ。

目を丸めた私に、慶太郎は言葉を続ける。


「麻衣ちゃんがここに居ると、原嶋は必ず麻衣ちゃんを使おうとするだろうから。拐うチャンスは明日しかない。まずは今日念の為様子を見たいから」