「じゃあ。僕、帰るね。」


食卓テーブルの椅子に座る幼なじみがきょとんとした顔をして僕を見た。


何も言わないならまあいいかと玄関の方へ歩く。


幼なじみが椅子を引く音がした。


いつも僕がするように玄関まで送ってくれるのかと納得する。


数歩したところで幼なじみは僕のリュックを掴んだ。


「え?」


僕は二、三歩後ろに後退した。


「あのな、あぶ」

「何か、変。いつもなら部屋行くじゃん。」


幼なじみは僕の言葉に被せて言った。


「帰りたい日だってあるだろ、普通に。」


幼なじみにまだリュックを掴まれた状態で僕は玄関に向かって話しかける。


「帰りたい理由は?」