僕達以外誰もいない家、いつもの流れならこのまま幼なじみの部屋行きだ。


理性と本能の葛藤による生き地獄、幼なじみが少しでも

隙を見せようものならば僕がどうなるかわからない。


普段会う時のストッパー『親』がいない今、本当に自分が危ない。


「ごちそうさま、美味かったよ。料理できたんだね。知らなかった。」


まだ少し皿にご飯が残る幼なじみが心外そうな顔をした。


「だって前、料理できる人が好きだって言われたから覚えたの!

絶対できないとか散々言ったの覚えてるー?」


幼なじみがぷうっと頬をふくらませた。


そうか、僕のために僕が言ったから料理を覚えたのか。


それってもしかして、と思った自分の気持ち悪い思考に

蹴りを入れ立て直す。


相手はまだ小学校を卒業したばかりだぞ、と言い聞かす。


幼なじみが食べ終わり、僕がお礼にと言って茶碗を洗った。


茶碗洗いを手際よく済ませ、僕は幼なじみに

何か言われる前にリュックを背負った。